肉の燻製の作り方

1、  燻製作りの基本的な約束事

@    まず清潔であること。口に入るものを作るから当然のこと。手を洗う、使う器具は清潔にしたものを使う。

A    肉は新鮮なものを使う。

B    肉に高温は禁物。肉はあるいみで細菌との戦いである。腐るということは細菌が繁殖していく過程である。ただ肉には新鮮さと熟成というある意味で相反する概念があるのであるがそれは最後に書くことにする。

C    温度計は必需品である。同じ温度の維持がいい燻製を作るポイントとなる。しかし最初の段階ではそれほど厳格に考えることはないとりあえず煙を当てることを楽しもう。

D    あせりは禁物。ゆったりした時間と薀蓄を傾けながら作るのが楽しいのだ。こう思えない人はやるべきでない。

E    肉に塩をつけ、その塩を抜き、乾燥させて、薫煙をかける。これが燻製の基本である。特にルールがあるわけではない。この工程をそれぞれの好みでどのように調整するかである。燻製のできは塩抜きがうまくいくかがポイントである。


スモーカー

燻製を作るためにまず必要なものはスモーカーである。しかし、これは要するに煙を閉じ込め肉に対して集中的に薫煙をかけられるものであればいい。

その大きさも燻製の用途、目的によって違ってくる。

私は最初大きな横長のダンボールを使っていた。その家かに小さな七輪を入れて炭をおこし、それに薫材を置いてダンボールの上に吊るすところを作り肉をかけて、煙が漏れないようにガムテープで目張りをして燻製を作っていた。

使いすぎて中に脂がつき、会社レクレーションでベーコンを作っているときにみんなの見ている前で燃やしてしまった失敗もある。

一斗缶

初心者にとってはこれが一番いい。その中でも上に蓋がついているセンベイ用のものが使いやすい。それでなくても豆腐屋さんで豆腐を買ったついでにもらった一斗缶の上を缶切りを使ってきれいに切り取りそれを使うのもいい。その際は煙が逃げないように何か蓋をつける必要がある。

そして、缶の上に小さな穴をあけ缶の左右に串を刺して肉を吊るす場所を作っておくことが必要である。

 

この場合に、一番面倒なことは薫煙を出すための熱源をどうするかである。一般的には豆炭を熾し、その上に小さな缶詰にスモークチップを一つかみいれて、アルミホイルでくるみ、それに小さな穴を数個あけて火の上に置くといい。

 

熱源(炭と電熱器)

炭も使ってみるといい炭と悪い炭の違いが実感できるであろう。備長炭に代表される白炭は火のつきは難しいが、火持ちがする。海外の輸入材を使ったバーベキュー用の安い炭は火付きはいいが直ぐに灰になってしまう。その点値段的にも「岩手の切り炭」は比較的いい炭である。

炭を使う際の注意点としては熾した炭の炎が出ているうちにスモークをかけるとチップに火がつき燃え出すことがあるので、できれば炭の表面が白く灰がつく状態(アッシュダウンという)で薫煙をかけると比較的安定する。

このアッシュダウンはバーベキューなどでも必要なノウハウである。火が出ている炭で焼いた肉は焦げるがアッシュダウンした炭で焼いた肉は遠赤外線のうまいものができる。

電熱器

また、スモーカーの容量がそれほど大きくない場合には小さな電熱器を熱源とすると煙の作り方が楽である。長く続けていきたい方は最初にこれを買っておくと比較的楽にスモークを楽しむことができる。

しかし、300ワットと600ワットを切り替えるタイプのほうが適当な温度の調整ができる。しかし缶の中に納まらないため、間のそこを切る必要があるので注意。感の加工に自信のない人は300ワットタイプの少し小さな電熱器を買うといい。

 

電熱器を使う場合の注意点としては(他の場合も同じ配慮は要る)スモークするとかなり高温になるため、肉の脂が落ちてくるため熱源と肉との間に何かプレートをおいて落ちてくる油が電熱器にあたらないようにする。肉の脂が電熱線に触れるとそこから断線することがある。

 


薫煙材

スモークするための必須の要素としては、煙を出すための薫煙材である。

普通は小さな木片のチップ状のいわゆるスモークチップを使う。最初はどのチップを使ってもその違いを理解することはできないと思う。私が今までの経験の中で少しだけ理解できるようになった違いを紹介しよう。

 

さくら  このチップは日本ではもっともポピュラーでよく使われると思う。スモークをはじめたら桜のチップというイメージがあると思う。ただこのチップは香りがとても強い素材である。初心者のころはスモークは十分に時間をかけておこうという傾向が強いが、それでは間違いなく香りが強すぎてイメージとは異なると思う。ソメイヨシノではなく山桜である。

素材にくせがあるもので私は牛タンに使っている。

 

りんご

特徴として甘い香りのマイルドな仕上げが好きな人に向くと思う。

クセのない淡白なものに使い、私はスモークチキン(鶏肉)と一度だけ息子の釣った50センチもある虹鱒に燻製に使った。

 

ヒッコリー

ゴルフのウッドに使われたという硬い素材で、オールマイティーと理解している。香りが程よくよくどれにでも合う。

ベーコン、ハムに使っている。

スモークは桜と思っている人は最初はこれを買い求めると失敗はないかもしれない。

 

オニグルミ

ヒッコリーと同じようななんにでも合うチップである。


燻製の種類  

 

塩漬け

薫煙時間

温度

保存期間

冷薫法

約1週間

1週間から1月

30度以下

1ヶ月以上

温薫法

2〜4日

1時間から5時間

30度〜80度

1週間以内

熱薫法

1〜2日

1時間から2時間

80度〜150度

保存は利かない

 

冷薫法 この方法は長い塩漬けにより、素材の中の菌の活動を弱め、薫煙の持つ保存効果で長く保存できる燻製ができる。したがって夏場はできない。寒い冬に長い期間かけて苦行を楽しむ根性がいる。

肉の分が最初の半分以下(正確には40%以下だといわれている。)になっているため保存性が高くなる。

しかし根気が要るのは事実。一度、冷薫の生ハムを作った。11月の末に塩漬け1ヶ月、塩抜き1週間、燻製に1ヶ月、熟成に一月軒下に吊るしたことがある。3ヶ月かけたが、サラリーマンのやることではないなと思い、二度と作るまいと思ったが出来上がった生ハムのおいしさと仲間の賞賛は燻製つくりの醍醐味を実感できた。 

 

温薫法 燻製の基本は温薫法と考えた方がいい。ポイントは最初は温度を低い温度から徐々に高い温度にしていくことと。熱源にあまり近いところに置いたり、急に温度を上げすぎると表面ばかり乾燥して美味い燻製はできない。

しかし、燻製を始めた当初は温度の維持はそれほど厳格に考えなくてもいいであろう。とりあえず燻製をかけて完成させる。それでいい。温度の管理は、季節によっても、そのスモーカーの特性と熱源によってもすべてころなり、同じ条件を作り出すことは難しい。それほど難しいものである。

保存性は高くないが冷凍すると1月以上は持つ。

 

熱薫法 この方法を使うと肉の表面がローストされた状態になり、すぐに食べるのに適している。フライパンの中にスモークチップを入れて網をひきその上に材料を入れて一気に煙と熱をあて香りをつけ、蒸し焼きにしてつくりといった感覚である。

我が家では、触れ主ベーコンタイプの塩漬けと香り付けをした肉をまるで中華の焼き豚のようなものを作るがなかなか好評である。

 


発色剤   

 燻製を作って(特にベーコンやハムの場合)最初に感じることは、思っていたイメージと異なるだろう。それはベーコンが思ったより白っぽく、肉の赤さが出てこないためであろう。これは素人が作る以上やむを得ないとともに、そのようにあるべきであろうと思う。というのは市販のベーコンやハムが新鮮そうな肉の赤身を出せるのは「亜硝酸ナトリウム」や「硝酸カリウム」という肉に含まれる色素に作用して肉色を固定したり発色させる添加物を使用しているためである。

これらの発色材は薬局で購入することができるが、素人が作る以上無添加の美味しい物を作るのが本道であろう。


大きなスモーカーの使い方

    比較的扱いやすい小型のスモーカーに対してドラム缶程度か、それを少し小さくしたような大型のスモーカーの使い方について紹介する。

    大型のスモーカーの場合には多くの熱源を使用するため、ロースとビーフを作るオーブンとしても活用できる。

    多くの肉をスモークできるというメリットのほかに、普通では作ることできない、ウエットタイプのスモークを作ることができる。

    大型のスモーカーの場合缶の中に網が2層ぐらいにひいてありそこに肉を載せるのであるが、炭を入れる一番下の部分の一段上に洗面器ほどのパンを置けるスペースがある。そこにワインにケチャップ、セロリにたまねぎそれに適当なブーケガルニを入れて網の上に適当な塩と胡椒をすり込んだ牛肉のブロックを置いて、熱源の炭に拳大に切った桜の木の枝を入れて2時間ほどスモークする。

   この際すみの上に薫煙材を直接かけるため、桜の木の枝を一時水につけて火が出ないように湿らせておく。

    それに中段のパンに入れた液が下から熱されて、少しずつ蒸発してスモークする肉が表面が乾燥せずにしっとりしたウエットタイプのスモークができる。

そしてこの駅には缶の中で熱された肉から肉汁が落ちてロースとビーフソースの下地ができる。終わったあと、その液からブーケガルニを取り出して、塩と胡椒、それに赤ワインで味を調えてローストビーフのソースができる。


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